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神経発生:脳シグナル伝達センターのcis調節配列の構成は脊索動物の起源にさかのぼる

Nature Genetics 48, 5 doi: 10.1038/ng.3542

ゲノミクス研究から、極めて多数の組織特異的なcis調節配列の存在が予想されているが、これらの配列の働きにとって決定因子は何か、またどんな進化過程を経ているのかについてはほとんど解明されていない。本論文では、脊椎動物の前脳発生に必須で、分泌モルフォゲンであるソニックヘッジホッグ(Shh)を介したシグナル伝達センターであるzli(zona limitans intrathalamica)領域において活性化状態にある一連の脳エンハンサーを包括的に検出した。de novoモチーフ解析ツールを使用して、マウス胚におけるzliエンハンサー活性およびShh発現に必須で、位置に依存しない6つの配列モチーフとそれらに関係する転写因子を見つけた。これらの調節配列に関する知見から、新たなShh zliエンハンサーがマウスに見つかり、さらに、機能的に同等の配列が半索動物に存在することが分かった。これは、Shh zli調節ネットワークの古代の起源が脊索動物門にさかのぼることを示唆している。上記の結果は、明らかな配列ホモロジーを欠き、しかも進化上大きな隔たりがありながら、機能的に保存されているエンハンサーを検出する方法の重要性を裏付けるものである。

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