Analysis

複雑形質:GWASとeQTL解析の要約データを統合し、複雑形質遺伝子を予測する

Nature Genetics 48, 5 doi: 10.1038/ng.3538

ゲノムワイド関連解析(GWAS)によってヒトの複雑形質に関連を示す何千もの遺伝学的バリアントが同定されている。しかし、こういったバリアントが形質への効果を発揮するのに必要な、遺伝子もしくは機能的DNA配列は多くの場合不明である。本論文では、GWASと遺伝子の量的形質座位(eQTL)解析の要約データを統合し、その多面的な効果から発現量が複雑形質と関連するような遺伝子を同定する方法を提案する(この方法をSMRと称する)。本法を5つのヒト複雑形質へと適用し、最大で339,224人のGWASデータと5,311人のeQTLデータを利用して、その有用性を検討した。その結果、疾患関連性の高い遺伝子として126の遺伝子(例えば、関節リウマチではTRAF1ANKRD55、統合失調症ではSNX19NMRAL1)を特定した。そのうち、25の遺伝子は新たな候補遺伝子であったが、77の遺伝子は、GWASの結果から最高レベルの関連が明らかになったSNPに対して割り当てられた直近の遺伝子ではなかった。これらの遺伝子から得られた重要な情報から今後の機能解析をデザインすることにより、DNAの多様性から複雑形質の多様性をもたらすような機序を解明することが期待される。

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