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白血病:思春期および若年成人のB細胞性急性リンパ芽球性白血病に高頻度に存在するDUX4融合

Nature Genetics 48, 5 doi: 10.1038/ng.3535

思春期および若年成人〔adolescent and young adult (AYA)、15〜39歳〕の急性リンパ芽球性白血病(ALL)の発がん機構はほとんど解明されていない。本論文では、次世代シークエンサーを用いて、フィラデルフィア染色体(Ph)陰性AYA-ALL検体(n=73)のRNA-seq解析を行い、AYA-ALLにおける新しいがん遺伝子を探索した。興味深いことに、B細胞性AYA-ALLではDUX4遺伝子を含むD4Z4反復配列のIGH座位への挿入が高頻度に同定された。この染色体転座の結果、C末端が短縮した異常なDUX4タンパク質の高発現が引き起こされた。マウスでの移植アッセイから、DUX4-IGHをpro-B細胞で発現させることにより、in vivoでB細胞性白血病が発症することが分かった。DUX4融合はAYA世代に特に多く存在した。従って、我々のデータは、DUX4が体細胞性の染色体再構成の結果として発がんドライバーになりうること、また、AYA-ALLは他の年齢のALLとは異なる臨床単位であるかもしれないことを示している。

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