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炎症性疾患:5つの慢性炎症性疾患の解析から27の新たな関連が特定され、共通座位における疾患特異的な関連パターンが明らかになった

Nature Genetics 48, 5 doi: 10.1038/ng.3528

強直性脊椎炎、クローン病、乾癬、原発性硬化性胆管炎、潰瘍性大腸炎の遺伝学的基盤を同時に解析し、臨床上関連の深いこれらの疾患間に認められる関係性と多面的効果について調べた。今回、ヨーロッパ系集団8万6,000人以上を対象にした高密度遺伝子型データから、複数の疾患に関係する相互に無関係のシグナルを244個同定した。このようなシグナルには、ゲノムワイドな有意性を示す27の新たな疾患感受性座位と、これまでに報告されていない3個の共通の発症リスク座位が含まれていた。この複雑な多面効果は、複数の疾患に関係するシグナルを、エピジェネティックなプロファイルおよび発現エンハンサープロファイルとともに、ヒト、ラット、マウスの発現データセットと比べることによって裏付けられた。5つの免疫疾患における共存疾患は、生物学的な異質性というよりは多面的効果によって最もよく説明できる(おそらく診断時の誤分類、分子サブタイプ、もしくは過度の共存疾患に起因する、ある疾患患者サブグループの1つが別の疾患患者と遺伝学的に同一になった状況)。具体的には、原発性硬化性胆管炎と炎症性腸疾患で見つかる高頻度の共存疾患は、おそらく古典的炎症性腸疾患の表現型とは遺伝学的に異なる特異な疾患である場合に生じると推定された。

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