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ガーゲノム:スポッテッドガーのゲノムは脊椎動物の進化を明らかにし、ヒトと真骨魚類の比較を容易にする

Nature Genetics 48, 4 doi: 10.1038/ng.3526

ヒトの生物学と魚類の生物医学モデルとを結びつけるため、スポッテッドガー(Lepisosteus oculatus)のゲノム配列を決定した。スポッテッドガーの系統は、真骨魚類ゲノムの重複(TGD)以前に真骨魚類から分岐した。ゆっくり進化するガーのゲノムには、硬骨魚類の祖先に由来する染色体が、遺伝子含量およびサイズにおいて、そのままの形で多数保存されている。免疫や、組織の石灰化、発生(例えばHoxやParaHox、microRNA遺伝子を介する)の進化を明らかにする上で、ガーは真骨魚類と四足類の橋渡しとなる。ヒトと真骨魚類の直接的な比較では検出できなかった種を超えて保存された非コード配列(しばしばシス制御配列)がガーを用いることにより数多く明らかになった。すなわち、このような素性が分からなかった保存された非コード配列の役割が機能解析により明らかになったため、ヒトのゲノムワイド関連研究で同定された配列のアノテーションが容易になった。重複した真骨魚類遺伝子について発現ドメインおよび発現レベルを合計すると、ガー遺伝子の発現パターンやレベルとしばしば近似することがトランスクリプトーム解析によって示された。これは遺伝子重複による潜在的機能分化(subfunctionalization)という考え方と一致する。ガーゲノムはゲノム重複後の生物進化、脊椎動物ゲノムの起源およびヒト調節配列の機能を理解するためのリソースを提供する。

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