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中皮腫:悪性胸膜中皮腫の包括的なゲノム解析から頻発する変異、遺伝子融合、スプライシングの変化が明らかになる

Nature Genetics 48, 4 doi: 10.1038/ng.3520

我々は、悪性胸膜中皮腫(MPM)の216の腫瘍について、トランスクリプトーム(n=211)、全エキソーム(n=99)、標的エキソーム(n=103)を解析した。RNA-seqデータを用いて、肉腫様、類上皮、二相性-類上皮(二相性-E)、二相性-肉腫様(二相性-S)の4つの異なる分子サブタイプを同定した。エキソーム解析から、MPMでは、BAP1NF2TP53SETD2DDX3XULK2RYR2CFAP45SETDB1DDX51が有意に変異している(qスコア≥0.8)ことが分かった。SF3B1(~2%、4/216)およびTRAF7(~2%、5/216)を含むいくつかの遺伝子では、変異が頻発することが明らかになった。SF3B1変異型の試料は、野生型腫瘍とは異なるスプライシングプロファイルを示した。TRAF7の変化は主にWD40ドメインに起こっており、1つを除いて、NF2の変化と相互排他的であった。頻発する遺伝子融合やスプライシングの変化は、NF2BAP1SETD2を不活性化するための機構である場合が多いことが分かった。今回の統合解析の結果から、MPMではHippo、mTOR、ヒストンメチル化、RNAヘリカーゼ、p53シグナル伝達経路の変化があることが明らかにされた。

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