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スーパーエンハンサー:発がん性MYBフィードバックループは腺様嚢胞がんにおいて選択的な細胞運命を引き起こす

Nature Genetics 48, 3 doi: 10.1038/ng.3502

転座はがんにおいてよく見られる事象で、キメラ融合あるいは「調節性再編成」を生じることで、がん遺伝子の過剰発現を引き起こす可能性がある。本論文では、発がん性転写因子MYBの過剰発現を引き起こすスーパーエンハンサーの転座が腺様嚢胞がん(ACC)に頻発することを明らかにする。全ゲノムの塩基配列決定データとクロマチン地図から、MYB座位にスーパーエンハンサーを並列させる染色体再編成が起こることが明らかになった。3C(chromosome conformation capture:染色体コンホメーション捕捉)アッセイから、転座を起こしたエンハンサーがMYBプロモーターと相互作用することが確認された。注目すべきは、MYBタンパク質が転座を起こしたエンハンサーに結合し、MYBの発現を持続させる正のフィードバックループが生じることである。また、MYBはACCの別な細胞系譜の調節プログラムを促進するエンハンサーにも結合し、筋上皮細胞ではTP63と、管腔上皮細胞ではNotchプログラムと協調する。ブロモドメイン阻害剤はin vivoのACCのprimagraftモデルにおいて腫瘍の増殖を遅延させた。従って、我々の研究は、MYBの発現を促進するスーパーエンハンサーの転座を明らかにし、また、別の選択的なACC細胞系譜におけるMYB下流の機能を理解する手掛かりになる。

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