Analysis

ナンセンス変異介在mRNA分解:ヒトがんにおけるナンセンス変異介在mRNA分解の規則と影響

Nature Genetics 48, 10 doi: 10.1038/ng.3664

未成熟終止コドン(PTC)は、遺伝的に継承されるヒト疾患の大部分の原因となっている。PTCを含む転写産物は、ナンセンス変異介在mRNA分解(NMD)と呼ばれるmRNA監視経路で分解され得る。しかし、NMDの効率はさまざまであり、PTCが最後のエキソン接合部複合体(EJC)の下流に位置する場合は効率が悪い。我々は、9,769のヒト腫瘍について、エキソームとトランスクリプトームの対応したデータを用いて、ヒト細胞におけるNMDターゲッティングに見られる規則を系統的に明らかにした。カノニカルなEJCモデルだけでなく、複数の規則をそれに組み込んだ統合モデルによって、数千のPTCについてのNMD効率の非無作為分散のおよそ4分の3を説明できた。また、遺伝子量補償によって、NMDの影響が隠されることがあることも見いだした。我々のNMDモデルを適用すると、ヒト腫瘍においてNMDが引き起こす変異に起きた正の選択および負の選択の両方のシグネチャーが明らかになり、がん抑制遺伝子を分類することが可能になる。

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