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髄膜腫:POLR2Aに高頻度に生じた体細胞変異から髄膜腫の異なるサブセットが明らかになる

Nature Genetics 48, 10 doi: 10.1038/ng.3651

RNAポリメラーゼIIは真核細胞において、タンパク質をコードしている全遺伝子の転写をつかさどっており、この過程は生命に必須である。この酵素の機能を変化させるゲノム変異は、ヒトのいかなる病理にも関連付けられたことはこれまでのところなく、このことこそが当該酵素が細胞の生理活性に不可欠な役割を果たす証拠といえる。本論文では、髄膜腫775症例の次世代ゲノム解析の統合解析をもとに、RNAポリメラーゼIIの触媒サブユニットをコードしているPOLR2Aに生じたp.Gln403Lysないしはp.Leu438_His439del変異が、この必須酵素の正常な機能調節を損なわせ、腫瘍形成を促すことを報告する。POLR2A変異型の腫瘍は、WNT6ZIC1/ZIC4をはじめとする重要な髄膜特性遺伝子の調節異常を呈していた。POLR2ANF2SMARCB1TRAF7KLF4AKT1PIK3CASMOにおける変異以外にも、髄膜腫ではAKT3PIK3R1PRKAR1ASUFUに体細胞変異が認められた。今回の結果は、発がんに至る際に不可欠な転写装置が担う役割と、臨床および病理所見が異なる相互排他的な髄膜腫のサブグループの存在を明らかにするものである。

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