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がん:ヒト大腸腫瘍増殖の「ビッグバン」モデル

Nature Genetics 47, 3 doi: 10.1038/ng.3214

検出不可能な初期の段階のヒト悪性腫瘍では、何が起こっているのかを直接観察できないので解明が進んでいない。本論文では、腫瘍の「ビックバン」モデルを提案するとともにそれを検証する。「ビックバン」モデルでは、腫瘍は、1回の爆厳的な事象で多数の混合サブクローンが選択を受けることなく生じ、一般的な(public、クローン性の)変化、およびほぼ検出可能な個別の(private、サブクローン性の)変化の両方がその増殖過程の早期に生じるとするものである。15の大腸腫瘍から採取した349か所の個々の腺腫瘍のゲノムプロファイリングから、我々のモデルが仮定したように、選択的スウィープの非存在、一様に高い腫瘍内不均一性(ITH)、遠位領域でのサブクローンの混合が示された。また、ほとんどの検出可能なITHが、早期の個別の変化に由来し、その後のクローン性増殖由来ではないという予測も検証できた。このように、原初の腫瘍プロファイルが明らかになった。その上、いくつかの腫瘍が「生まれつき悪性」に見えることから、サブクローンの混合の見られることが早期の悪性腫瘍である可能性が示される。この新しいモデルは、腫瘍の増殖動態やITHの起源を説明する量的な枠組みになるとともに、臨床に重要な意味を持つものである。

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