Technical Report

適応帰結度:ヒトゲノム全体にわたる点変異の適応帰結度の確率を計算するための手法

Nature Genetics 47, 3 doi: 10.1038/ng.3196

ゲノム中の各位置における点変異が適応に影響するかどうかの確率を見積もるための新しい計算手法について報告する。これらの「適応帰結度」(fitCons)スコアは、潜在的なゲノム機能について、進化という面での評価指標としての役割を果たすものである。この手法は、高スループットに得た機能ゲノム科学的データに現れる明確な「フィンガープリント」に基づいてゲノムの位置をクラスタリング手法によりグループ分けし、その後、遺伝子多型の変化パターンとその多様性とに基づいてそれぞれのグループについて適応の結果である確率を見積もるというものである。我々はENCODE中の公共データに基づき、3つのヒト細胞タイプについてfitConsスコアを生成した。従来の配列保存度と比較して、fitConsスコアではシス制御エレメントの推定力が大幅に改善されている。加えてfitConsスコアは、ヒトとチンパンジーの分岐以降、適応に影響したのはヒトゲノムの4.2〜7.5%のヌクレオチドであることを示しており、このことから示唆されるのは、機能ゲノム科学的に最近の進化的ターンオーバー現象が及ぼしたであろう影響は限定的だということである。

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