Analysis

集団遺伝学:有害変異を除去する自然選択の影響が、ヨーロッパ系集団ではアフリカ系集団よりも小さいという証拠はない

Nature Genetics 47, 2 doi: 10.1038/ng.3186

非アフリカ系集団は西アフリカ系集団から分かれて以降の時間でサイズ減少を経験している。このことが、弱い有害変異を除去する自然選択は非アフリカ系集団の歴史ではあまり有効に働いていないという仮説につながっている。この仮説を検証するため、非同義置換のゲノムごとの累積をさまざまな集団間で測定した。その結果、非アフリカ系集団に高い荷重の有害変異についての証拠を見つけることはできなかった。しかしながら、より分岐した集団間では、有意な違いが検出された。古代デニソワ人では、現代人あるいはネアンデルタール人のどちらよりも速く非同義変異が蓄積していた。これらの知見と、西アフリカ系集団に比べて有害変異の除去が機能していないと判断される非アフリカ系集団のパターンとの折り合いをつけるため、シミュレーションを用いた。その結果明らかになったのは、観察されたパターンが集団分岐後に働いた選択の違いを示すのではなく、このパターンは別の集団遺伝学的因子により引き起こされていると考えられることである。

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