Analysis

全がん解析:全がんネットワーク解析によって、経路やタンパク質複合体に見いだされるまれな体細胞変異の組み合わせが見つかった

Nature Genetics 47, 2 doi: 10.1038/ng.3168

がんに含まれる変異は均質ではなく、その結果として生じるロングテール現象は、がんで有意に変異する遺伝子や経路の発見を難しくしている。今回、変異したネットワークを見つけるために、新たなアルゴリズムHotNet2を用いて全がん解析を行った。解析対象は、がんゲノムアトラス(TCGA)の12種類のがん由来の3281個の試料である。HotNet2は、複数の変異したサブネットワークを見つけるアルゴリズムであり、既存の単一遺伝子、単一経路、単一ネットワーク検出アプローチの問題点を克服している。今回の全がん解析によって、有意に変異が生じたサブネットワークを16個同定した。これらのサブネットワークには、がんとの関連がよく知られているシグナル伝達経路や、がんにおける特徴的な役割がそれほど知られていないコヒーシンやコンデンシンなどをはじめとするサブネットワークも含まれていた。同定されたサブネットワークの多数には、多くの試料にわたって同時に生じた変異が見つかった。また、これらのサブネットワークには、まれな体細胞変異を持つ遺伝子が多数、複数のがんにわたって含まれていた。こういった遺伝子の大部分ががんに関与していることを示すさらなる証拠が得られている。まれな変異のさまざまな組み合わせを新たに明らかにした今回の全がんネットワーク解析は、あらゆる種類のがんに対する診断および治療のチャンスを新たに模索するための指針となる。

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