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セザリー症候群:皮膚T細胞性リンパ腫およびセザリー症候群の変異の全体像

Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3442

セザリー症候群は、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)の白血病型かつ進行型で、皮膚にホーミングするセントラルメモリーCD4+ T細胞の悪性形質転換から生じる。本論文では、セザリー症候群の患者25人と他のCTCLの患者17人の腫瘍試料と正常試料の組について全エキソーム塩基配列決定を行った。これらの解析からセザリー症候群では、がん抑制遺伝子のTP53RB1PTENDNMT3AおよびCDKN1Bが関与する染色体欠失が非常によく見られることなど、体細胞コピー数変化に特有のパターンがあることが突き止められた。変異解析から、エピジェネティックな調節に関与する重要な遺伝子〔TET2CREBBPKMT2DMLL2)、KMT2CMLL3)、BRD9SMARCA4CHD3〕や、T細胞受容体刺激の際にMAPK、NF-κBおよびNFAT活性の増強を引き起こす、MAPK1BRAFCARD11およびPRKG1の変異を含むシグナル伝達に関わる重要な遺伝子の広範な体細胞変異が同定された。総合的に我々の知見は、セザリー症候群およびCTCLの遺伝学を理解するための新しい手掛かりになり、また、これらの疾患の治療のために、発がんによって活性化されたシグナル伝達経路を標的とする個別化治療の開発を支持するものである。

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