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ウイルムス腫瘍:転写抑制因子RESTの変異はウイルムス腫瘍易罹患性を高める

Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3440

ウイルムス腫瘍は小児の腎臓のがんで最も多いものである。ウイルムス腫瘍の易罹患性を決めている変異を見つけるため、エキソーム塩基配列決定研究を行った。この論文では、4つの家族性ウイルムス腫瘍家系と9つの非家族性症例で見つかった11の相異なるREST(RE1を抑制する転写因子をコードする遺伝子)の不活性化変異について報告する。注目すべきことは、同様の変異はICR1000コントロールシリーズ2(13/558対0/993、P<0.0001)あるいはExACシリーズ(13/558対0/61312、P<0.0001)のいずれでも見られなかったことである。2つの腫瘍では2つ目の変異が検出され、RESTがウイルムス腫瘍の発生でがん抑制遺伝子として働いているらしいことが分かった。RESTはジンクフィンガー転写因子で細胞分化や胚発生で働いている。11の変異のうち10がRESTのDNA結合ドメインをコードしている部分に集中しており、機能解析ではこれらの変異はRESTの転写抑制機能を低下させることが示された。これらのデータはRESTがウイルムス腫瘍の約2%を説明する易罹患性遺伝子であることを確立するものである。

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