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肺がん:NRF2は非小細胞性肺がんのセリン生合成を制御している

Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3421

腫瘍細胞は急激な細胞成長と増殖を可能にするため、エネルギーと同化作用を必要とする。最近、セリン生合成経路が、腫瘍成長と増殖の過程に必要な代謝中間物の重要な供給源であることが明らかにされた。今回、非小細胞性肺がん(NSCLC)の多数の細胞株パネルを対象に代謝動態解析と転写プロファイル解析を統合し、NSCLCにおけるセリンおよびグリシンの生合成経路の活性と制御について特性解析を行った。本論文では、この経路の活性が極めて多様であり、転写因子NRF2によって制御されていることを明らかにしたので報告する。NRF2は、NSCLCでは脱制御されていることが多いことも分かった。まず、NRF2がATF4を介して、セリンやグリシンの生合成を担う主要な酵素の遺伝子PHGDHPSAT1SHMT2の発現を制御し、グルタチオンおよびヌクレオチドの産生を支えていることを見つけた。さらに、セリン/グリセリン生合成経路を構成するこれらの遺伝子の発現によってヒトNSCLCの予後が不良となることが分かった。従って、ヒトのNSCLCの症例のうちかなりの場合においてNRF2依存性転写プログラムが活性化状態にあり、その結果、セリンやグリシンの代謝が調節され、臨床上の悪性度と関係することが分かった。

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