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対立遺伝子特異的発現解析:双生児のトランスクリプトーム配列解析から明らかになった遺伝子間および遺伝子と環境間の相互影響

Nature Genetics 47, 1 doi: 10.1038/ng.3162

遺伝子発現についての遺伝的構造を理解することは、複雑疾患の遺伝的構造を理解する上での途中段階である。RNA塩基配列決定の技術によって、遺伝子発現の定量的解析のレベルが向上し、対立遺伝子特異的な発現(ASE)の測定が可能になっている。ASEはcisに機能する調節因子のバリアントによる直接的な影響によって生じると仮定されているが、ASEを引き起こす原因についての妥当な推定は今までのところ行われていない。今回の研究では、双生児の試料という強みを生かしてASEに対する遺伝要因および環境要因の相対的な関与度を測定し、遺伝子間(G×G)および遺伝子と環境間(G×E)の相互間のやり取りがかなりの影響を及ぼすことが明らかになった。この結果から、ASEにはcis因子における遺伝的多様性、すなわち両方の対立遺伝子の塩基配列上の違いが必須であるが、ASEへの影響の程度は、cis因子である遺伝的バリアントと影響し合う、すなわちtransに機能する遺伝要因および環境要因によって決まるというモデルを提唱する。

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