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感染症:猩紅熱の原因菌である化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)のemm12型クローンの香港での出現には毒素獲得と多剤耐性が関連している

Nature Genetics 47, 1 doi: 10.1038/ng.3147

猩紅熱の感染拡大は2011年に中国本土と香港で始まった。マクロライドおよびテトラサイクリンに耐性を示す化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenesemm12型分離株が臨床例の大部分に見られた。最近、我々は、感染拡大時のemm12型分離株と密接な関連を示す2つの可動性遺伝因子を同定した。その1つは、ICE(integrative and conjugative element)-emm12で、テトラサイクリンおよびマクロライドへの耐性遺伝子をコードしており、もう1つは、プロファージΦ HKU.virで、スーパー抗原のSSAおよびSpeCと共に、DNアーゼのSpd1をコードしている。本論文では、2005年から2011年の間に香港で分離された132分離株を含む、141のemm12型分離株のゲノム配列決定を行った。20世紀後半に3つの異なるemm12系統に、いくつかのICE-emm12多様体、ΦHKU.vir および新しいプロファージΦ HKU.ssaの導入が起こったことが分かった。ssaおよび多剤耐性遺伝子をコードする転移因子の獲得が、香港での猩紅熱に関連するemm12系統の拡大の引き金となった。多剤耐性でssaを持つ猩紅熱株が出現したので、このような可動性遺伝因子の伝播の監視強化を中国国内にとどまらず、国外でも促すべきである。

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