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腎がん:非淡明細胞腎がんのサブタイプを決定する遺伝的変異のスペクトラム

Nature Genetics 47, 1 doi: 10.1038/ng.3146

腎がんサブタイプ間の分子的差異について理解を深めるために、腎オンコサイトーマ、および乳頭型(pRCC)、色素嫌性型(chRCC)、転座型(tRCC)の非淡明細胞腎がん(nccRCC)など、全部で167例の初発ヒト腫瘍から、エキソーム、トランスクリプトーム、コピー数変異のデータを解析した。pRCCにおいては、METNF2SLC5A3PNKDCPQをはじめとする10個の遺伝子が有意に変異していた。METの変異は、15%(10/65)のpRCC試料で見られ、これまで報告されていない活性化変異の頻発が見られた。chRCCにおいては、TP53PTENFAAH2PDHBPDXDC1ZNF765が有意に変異していた。遺伝子発現解析ではchRCC、腎オンコサイトーマ、pRCCを分子レベルで分類することができる5つの遺伝子の組み合わせを見つけた。また、RNA塩基配列決定を用いてACTG1-MITF融合などこれまでに報告のなかった遺伝子融合を見つけた。ACTG1-MITF融合の異所性の発現は細胞悪性化を誘導し、下流の標的遺伝子群の発現をもたらした。また、MiTF高発現のRCC腫瘍で抗アポトーシス因子であるBIRC7の発現亢進を観察し、BIRC7抑制因子のがん治療上の役割が示唆された。

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