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髪色:ヨーロッパ人の典型的なブロンド髪色の分子基盤

Nature Genetics 46, 7 doi: 10.1038/ng.2991

髪色の違いは、ヒトの表現型の多様性についての最も明白な事例の1つである。ゲノムワイド関連研究(GWAS)によって複数の座位がヒトの色素の多様性に関連付けられているが、原因となる塩基対変化は依然としてほとんど明らかになっていない。本論文では、北欧人によく見られるブロンドの髪色(金髪)に有意な関連が認められているKITLG(KITリガンドをコードする)の調節領域を詳細に調べた。機能解析から当該領域に、発生中の毛包での発現を活性化するエンハンサー領域が含まれることが判明した。このエンハンサー領域には、頻度の高いSNP(rs12821256)が含まれていた。そしてこのSNPは、転写因子であるリンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1)が結合する部位に変化を生じさせ、ヒトの培養角化細胞におけるLEF1の応答性およびエンハンサー活性の低下を招いた。マウスが保持するヒトKITLGエンハンサー領域が祖先型である場合とそれから変化した型の場合では、毛の色素形成に有意な差が認められた。この事実は、極めて重要な増殖因子の発現調節の変化によって、北欧人で多く見られるブロンドの髪という表現型が引き起こされていることを示すものであった。

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