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横紋筋肉腫:MYOD1の反復性ネオモルフ変異は、PI3K-AKT経路の変異との共存によって、進行性の胎児性横紋筋肉腫を引き起こす

Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2969

横紋筋肉腫は骨格筋細胞系列のがんの1つで、小児で最もよく見られる軟部組織肉腫である。横紋筋肉腫の主な種類には、胞巣型横紋筋肉腫(ARMS)と胎児性横紋筋肉腫(ERMS)がある。ARMSにおいては転座によって形成される遺伝子融合(PAX3-FOXO1、あるいはPAX7-FOXO1)が一般的に認められ、その結果、末期の筋分化が阻害される。一方、ERMSではこれに機能的に相当する遺伝子レベルの変化は見つかっていない。本論文では、全エキソーム塩基配列決定の結果から明らかになった、筋原性転写因子MYOD1の反復性体細胞変異について報告する。p.Leu122Argをコードしているこの変異は、予後が不良で、多くの場合にPI3K-AKT経路構成因子に異常を来す変異が同時に生じている、特定のERMSサブタイプで見つかった。以前行われた変異誘発解析から、p.Leu122Arg置換型MYOD1が野生型MYOD1の機能を阻害し、MYCコンセンサス配列に結合することが示されている。つまり、この変異が分化から増殖へのスイッチである可能性が示唆されていた。今回の機能的解析の結果は、この推測を確認したことになる。従って、MYOD1のp.Leu122Argは、高リスク(腫瘍治療)プロトコールおよび標的治療の開発の対象となる、特定の横紋筋肉腫サブタイプの一因である。

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