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小児心筋症:小児発症拡張型心筋症にみられるRAF1変異

Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2963

拡張型心筋症(DCM)は、サルコメア遺伝子の変異を伴うものが多いが、その特徴は非常に多様である。DCMの原因の多くは未だに分かっておらず、遺伝子特異的な治療法はない。異なる祖先のコホートから513例のDCM患者と1,150人の対照例のリシーケンシングを行い、3つのコホート(南インド人、北インド人、日本人)において希少な機能的RAF1変異を発見した。これらの3つのコホートにおける小児発症DCMのRAF1変異の割合は約9%であった。生化学的な解析を行うと、DCM患者におけるRAF1変異体ではリン酸化活性が変化しており、ERKの活性化はほとんど変わらないが、AKTがBRAF依存的に過剰に活性化されていた。これらの変異体を恒常的に発現させたゼブラフィッシュの胚は、AKTの過活性化を伴う心不全表現型を示し、これはラパマイシン処理により回復した。これらの結果は新しい作用機序を提唱すると共に、RAF1が関与するDCMに対する治療標的の可能性を示し、RAF1関連ヒト疾患の多様さをさらに示すものである。

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