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ダウン症候群と白血病:21q22領域の三重重複はHMGN1の過剰発現やヒストンH3 Lys27トリメチル化の喪失を介したB細胞形質転換に寄与する

Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2949

ダウン症候群はB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)のリスクの20倍の増加に寄与し、また、ポリソミー21はあらゆるB-ALLに最もよく見られる体細胞異数性である。しかし、21番染色体の三重重複とB-ALLの間の機構的関連は解明されていない。本論文では、ヒト染色体21q22にオーソロガスな31遺伝子のみの生殖細胞系列での三重重複が、マウスB細胞前駆細胞のin vitroでの自己複製やin vivoでの成熟異常、BCR-ABL融合タンパク質あるいは活性化JAK2を伴うCRLF2のどちらかによるB-ALLに寄与することを示す。染色体21q22の三重重複は、B細胞前駆細胞やB-ALLにおいてヒストンH3 Lys27トリメチル化(H3K27me3)を抑制し、また、三重重複のある細胞では、野生型B細胞前駆細胞のプロモーターでH3K27me3とH3K4me3の両方が見られる「二価」の遺伝子が選択的に過剰発現している。ポリソミー21が見られるヒトB-ALLは、複数の細胞種でのH3K27me3で標識される遺伝子の過剰発現によって識別しうる。染色体21q22にコードされるヌクレオソームリモデリングタンパク質のHMGN1の過剰発現は、H3K27me3を抑制し、また、in vitroでのB細胞増殖およびin vivoでのB-ALLの両方を促進する。

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