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カレイのゲノム進化:カレイ目の魚の全ゲノム配列から、ZW型性染色体の進化と底生への適応についての手掛かりが得られる

Nature Genetics 46, 3 doi: 10.1038/ng.2890

WおよびZ染色体による遺伝的な性決定は、さまざまな生物種で別個に発達を遂げてきた。性染色体の進化と性決定機構の可変性(適応性)についての理解を進めるために、カラアカシタビラメ(Cynoglossus semilaevis)の雄(ZZ)および雌(ZW)の全ゲノムの塩基配列を決定した。水底で生息するための適応についての手掛かりに加えて、シタビラメの性染色体が、鳥類のWおよびZ染色体と同じ、脊椎動物の祖先にあたる重複前染色体から由来していることを見つけた。特に、鳥類においては雄性決定遺伝子であるdmrt1は、シタビラメにおいて同じくZ染色体上にあり、ほぼ同じ機能を示すという収斂進化の特徴を示した。また、相対的に新しいシタビラメの性染色体と、哺乳類および鳥類の性染色体の配列比較解析を行い、性染色体進化の初期段階に起こる出来事を明らかにした。さらに、異型配偶子における性染色体の退化についての昨今の論争に関連して、性染色体の「誕生」に引き続いて大規模な遺伝子欠損が起こったことを示した。

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