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マラリア:大規模な多施設研究による既知のマラリア抵抗性座位の再検討

Nature Genetics 46, 11 doi: 10.1038/ng.3107

マラリア抵抗性とヒトの遺伝的関連が多数報告されているが、確実に再現性が得られるものはわずかしかない。我々は、アフリカ、アジア、オセアニアの12か所から、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)による重症マラリア症例11,890人と対照17,441人についてのデータを収集した。そして、重症マラリアとの関連がこれまでに報告されている27座位の55個のSNPについて検討した。その結果、HBBABOATP2B4G6PDCD40LG座位との関連の証拠がP < 1× 10− 4で得られた。しかし、他の22座位については、今回の多施設解析では再現性が得られなかった。今回の研究ではサンプルサイズが大きいため、集団あるいは表現型の間で異質性が含まれていても、真の遺伝的効果を同定できる。その特筆すべき例として、G6PD欠損症のアフリカでの主要な型は、脳マラリアのリスクを減少させるが、マラリアによる重症貧血のリスクは増加させる。G6PD欠損症が熱帯熱マラリア原虫感染の致死性合併症に関して逆の効果を及ぼすという知見は、この一般的なヒトの遺伝性疾患の進化の起源が、これまでに考えられていたよりも複雑であることを示している。

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