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老化:SPRTN変異は早期発症型肝細胞がん、ゲノム不安定性、早老性症状を引き起こす

Nature Genetics 46, 11 doi: 10.1038/ng.3103

加齢を原因とする変性疾患および悪性疾患は医療システムにとって大きな問題となっている。従って、発がんや、加齢に伴う病態の基礎を成す分子機序を解明する生物医学的意義は増大しつつある。今回、血縁関係のない2つの家系から抽出した3人の患者において、両対立遺伝子性の生殖細胞系列変異をSPRTNC1orf124、もしくはDVC1とも呼ぶ)に同定した。3人の患者は全員、ゲノムの不安定性と早期発症型肝細胞がんに対する感受性を特徴とする新しいタイプの分節性早老症候群に罹患していた。SPRTNの機能については、損傷乗り越えDNA合成と突然変異の発生回避を行っているという説が最近提唱されている。同定した変異についてin vivoおよびin vitroにおける特性解析を行ったところ、通常のDNA複製に際して生じた複製ストレスを回避し、複製に関連したG2/Mチェックポイントの制御に関わるという、SPRTNの重要な役割が明らかになった。今回の研究成果は、同定されたSPRTN変異がこの疾患の発症要因であることに加えて、SPRTNの機能不全によって、どのように老化の促進が起こり、がん腫の感受性を高くするかを分子レベルで明らかにするものである。

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