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アルドステロン症:ATP1A1およびCACNA1Dの体細胞変異は副腎性高血圧のよくあるサブタイプを引き起こす

Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2716

高血圧患者の少なくとも5%は副腎のアルドステロン産生腺腫(APA)を発症する。APAにおいては、機能獲得型であるKCNJ5変異と、機能喪失型と考えられるATP1A1およびATP2A3の変異が生じていることが報告されている。我々はこれまでに、KCNJ5変異が、副腎皮質束状帯のコルチゾール分泌細胞に類似するAPAでは高い頻度で存在するものの、副腎皮質球状帯のアルドステロン分泌細胞に類似するAPAの一部には存在しないことを明らかにしている。今回、球状帯分泌細胞様APAの10検体についてエキソーム塩基配列決定を行い、9検体がNa+/K+ ATPase α1サブユニットをコードするATP1A1、もしくはCav1.3をコードするCACNA1Dのいずれかに体細胞変異を生じているのを見つけた。ATP1A1変異は例外なく、細胞内に向かう漏れ電流を生理学的条件下で引き起こしていた。CACNA1D変異は、膜電位を負の方向に向かわせる電位依存性チャネルゲートの開閉変化を引き起こしたり、ゲートの不活性化が抑制されたり、あるいは電流の増大が見られた。これらの変異を生じているAPAの多くは直径が1㎝より小さく、従来の副腎造影では見落とされていた。このAPAサブタイプについての特徴的な遺伝子型および表現型が判明したことによって、その診断が容易になると期待される。

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