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レット症候群:Mecp2変異マウスでの抑制因子のスクリーニングからレット症候群に対するコレステロール代謝の関与が示される

Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2714

メチルCpG結合タンパク質2をコードするMECP2の変異は、最も重度の自閉症スペクトラム障害であるレット症候群を引き起こす。症候性Mecp2ヌルマウスにおいてMecp2を再発現させると、機能や寿命が著しく改善されることから、ヒトにおける治療的介入が可能であるという希望がもたらされる。治療的介入のための疾患の病理に関与する経路を同定するために、Mecp2ヌルマウスにおいてN-エチル-N-ニトロソウレア(ENU)を用いた優性変異誘発による抑制因子のスクリーニングを行い、Mecp2欠損の症状を軽減する5個の抑制因子を単離した。我々は、スクアレンエポキシダーゼ(コレステロール生合成の律速酵素)をコードするSqleの終止コドン変異が、1つの系統に見られる症状の抑制をもたらすことを示す。次に、Mecp2ヌル雄マウスの脳と肝臓では、脂質代謝が障害されていることも示す。これと一致して、スタチン系薬剤は、Mecp2変異マウスにおける、全身性の脂質代謝障害の改善、運動症状の軽減および寿命の延長を引き起こす。したがって、我々の遺伝学的スクリーニングは、コレステロール恒常性がレット症候群患者の治療標的として有望であることを示す。

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