Analysis

精神疾患:ゲノムワイドなSNPから推定される5つの精神疾患の間の遺伝的関係

Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2711

ほとんどの精神疾患には中程度から高度の遺伝性が認められる。個々の疾患に固有、あるいは複数の疾患に共有される遺伝的多様性の程度は分かっていない。我々は、統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)の症例と対照についての精神医学ゲノミクスコンソーシアム(PGC)のゲノムワイドな遺伝子型データを用いて、これらの疾患に共有される遺伝的病因を調べた。我々は、一変量および二変量の方法を適用し、これらの疾患内の遺伝的多様性および疾患の間の共変動を推定した。SNPはこれらの疾患のリスクの分散の17~29%を説明した。一般的なSNPを用いて計算された遺伝的相関は、統合失調症と双極性障害の間で高度(0.68±0.04 s.e.)、統合失調症と大うつ病性障害の間で中程度(0.43±0.06 s.e.)、双極性障害と大うつ病性障害の間で中程度(0.47±0.06 s.e.)、ADHDと大うつ病性障害の間で中程度(0.32±0.07 s.e.)、統合失調症とASDの間で低度(0.16±0.06 s.e.)であり、疾患のこの他の組み合わせや、精神疾患と陰性対照のクローン病の組み合わせでは、有意な相関は見られなかった。このような精神疾患に共有される遺伝的病因についての経験的な証拠から、疾病分類学に有用な情報を得ることができ、また、関連疾患に共通する病態生理学的研究が促進されるであろう。

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