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カメゲノム:スッポンとアオウミガメのドラフトゲノム配列から得られたカメに特有なボディプランの発達と進化に関する知見

Nature Genetics 45, 6 doi: 10.1038/ng.2615

カメに固有の解剖学的な特徴は、その特徴的なボディプランの起源に関して様々な未解決問題をもたらしてきた。我々は、スッポン(Pelodiscus sinensis)とアオウミガメ(Chelonia mydas)のゲノム概要配列を決め、解析したところ、カメは鳥類~ワニ類系統と近縁であり、およそ2億6790万年から2億4830万年以前(ペルム紀後期~三畳紀)に鳥類~ワニ類系統から分岐したことが示唆された。これらのカメでは、嗅覚受容体の遺伝子数が大幅に増加していることも明らかになった。胚の遺伝子発現の解析からは、カメとニワトリの胚発生の間に砂時計の形のようにくびれをもった多様性が認められ、最もよく保存されている胚段階が、羊膜類に共通したパターンがみられる後期の胚段階ではなく、むしろ、脊椎動物の基本設計(ファイロタイプ)がみられる時期であることがわかった。背側の甲羅の縁の成長域でWnt5a発現も観察され、四肢に関連した一部のWntシグナルがカメ特有の新奇形質に再利用されたという可能性も支持された。これらの結果は、カメの進化には、予想外に保守的な脊椎動物ファイロティピック段階の保存と、その後に続くカメに特異的な再パターンニングを通した、新奇形質である甲羅の形成が伴ったことを示している。

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