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神経膠腫:全ゲノム塩基配列決定により小児低悪性度神経膠腫での遺伝的変化が明らかになる

Nature Genetics 45, 6 doi: 10.1038/ng.2611

最もよくみられる小児脳腫瘍は低悪性度神経膠腫(LGG)である。我々は、全ゲノム塩基配列決定により、LGGおよび低悪性度グリア神経細胞性腫瘍(LGGNT)の39例において、BRAFRAF1FGFR1MYBMYBL1、およびヒストン関連機能を持つ遺伝子であるH3F3AATRXに関与する多数の新規遺伝的変化を同定した。39例の腫瘍のうち24例(62%)においては、単一の非サイレント体細胞変化のみが検出された。FGFR1のチロシンキナーゼドメイン(TKD)をコードする部分の遺伝子内重複およびMYBの再編成は、グレードIIのびまん性LGGの53%において頻発するが、相互排他的にみられた。TKDを含む重複を持つFGFR1を発現するTrp53-nullの新生児アストロサイトを、ヌードマウスの脳に移植すると、潜伏期が短く、100%の浸透率の高悪性度星細胞腫が生じた。重複のあるFGFR1はFGFR1の自己リン酸化、MAPK/ERK経路およびPI3K経路の亢進を誘導するが、これらは特異的な阻害剤による遮断が可能であろう。びまん性LGGの治療は難しいが、我々の151例の腫瘍についての研究から、小児LGGおよびLGGNTの全範囲にわたる遺伝的変化と治療標的の可能性が発見できた。

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