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ウォーカー・ワールブルグ症候群:ISPDの機能喪失型突然変異はジストログリカンのO-マンノース付加を妨害し、ウォーカー・ワールブルグ症候群を引き起こす

Nature Genetics 44, 5 doi: 10.1038/ng.2252

ウォーカー・ワールブルグ症候群(Walker-Warburg syndrome:WWS)は臨床的には、先天性筋ジストロフィーに加えて、多様な脳および眼の形成異常を呈する疾患として定義される。この疾患は、α‐ジストログリカンの翻訳後プロセシングの異常に関係し、ラミニン結合型グリカンが合成されない、という共通した特徴を示すさまざまな疾患のうち、最も重篤な臨床症状をとる。WWSの発症因子として6つの遺伝子に生じた変異が明らかになっているが、これらの変異が原因であるとされる場合は、現時点ではWWS患者の半分にすぎない。今回、原因変異が不明なWWS患者の繊維芽細胞において細胞融合法による相補性試験を行い、5種類の新規相補性群を同定した。続いて、そのうちの1群に対する連鎖解析によって連鎖する変異を特定し、特定領域に絞り込んだ塩基配列決定を行い、イソプレノイド生合成系酵素ドメイン含有タンパク質(isoprenoid synthase domain containing)をコードしているISPD遺伝子に存在する劣性変異を同定した。同定されたISPD変異の病原性は、野生型ISPDを含む繊維芽細胞による相補性で示された。本論文では、ジストログリカンのO-マンノース付加を妨害することで、ラミニン結合型グリカンを合成のための最初の段階を起こらなくしている、ISPD の劣性変異を明らかにした。この結果は、WWSの病態生理について新たな機序を構築するものである。

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