Letter

胃腺がん:胃腺がんのエキソーム塩基配列決定で細胞
接着とクロマチンリモデリング遺伝子に
頻発する体細胞レベル変異が見つかる

Nature Genetics 44, 5 doi: 10.1038/ng.2246

胃がんは世界的にがん死亡の主要原因である。我々は胃がんの体細胞レベルの変異スペクトルを15例の胃腺がんとそれに対応する正常部DNAのエキソーム塩基配列を解析することにより調べた。腺がんで変異が頻発する遺伝子にはTP53(11/15の腫瘍で)、PIK3CA(3/15の腫瘍で)、ARID1A(3/15の腫瘍で)が存在した。変異頻度が高い遺伝子群では、細胞接着が最もその集中をみる生物学的経路であった。頻度スクリーニングでは、カドヘリンファミリー遺伝子の1つであるFAT4の変異は胃がんの5%(6/110)にあり、FAT4の欠失は胃腫瘍の4%(3/83)にあることが確認された。クロマチンリモデリング遺伝子(ARID1A、MLL3、MLL)の変異多発も47%の胃がんで見られた。ARID1Aの変異は腫瘍の8%(9/110)に見られ、PIK3CAの変異やマイクロサテライト不安定性を併発していた。機能評価では、FAT4ARID1Aのいずれもが腫瘍抑制活性を示した。FAT4ARID1Aの体細胞レベル不活性化は胃がんの一部ではこのように重要ながん誘発イベントになりうる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度