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白血病エピゲノム:慢性リンパ性白血病におけるエピゲノム解析によって検出された、遺伝子本体DNAに生じた広範囲にわたる低メチル化

Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2443

IGHVが変異型または正常型である慢性リンパ性白血病(CLL)患者139人と、数種の成熟B細胞亜集団についての大規模なDNAメチローム解析を、 重亜硫酸塩処理による全ゲノム塩基配列決定法と高密度アレイを用いて行った。その結果、CLLの2種類の分子亜型におけるDNAメチロームの違いが明らかになった。このことは、正常B細胞に、別個のエピジェネティックなインプリントを受けている亜集団が存在することを示していると考えられる。遺伝子本体には、主にエンハンサー部位に特異的なDNA低メチル化が見られたが、この低メチル化がエピジェネティックな差として最も頻繁に観察されたのは、ナイーブB細胞とメモリーB細胞間、および、CLLの分子亜型2種と正常B細胞間においてである。DNAメチル化と遺伝子発現には明確な相関関係は認められなかった。しかし、メチル化によって遺伝子の発現を正または負に調節している、遺伝子本体のCpGジヌクレオチドを同定した。さらに、CLLの、新たな臨床生物学上の亜型を判別する、DNAメチル化の識別特性(シグネチャー)を見つけた。本論文は、遺伝子本体に生じる特異的なメチル化が白血病発症に何らかの形で関与しているという、白血病エピゲノムで起きていると考えられる事象を説明するモデルを提示するものである。

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