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悪性中皮腫とBAP1:BAP1の生殖細胞系列変異は悪性中皮腫の感受性因子である

Nature Genetics 43, 10 doi: 10.1038/ng.912

アスベストに曝露した人のごくわずかしか悪性中皮腫が発生しないこと、中皮腫はある家系に集中するという観察から、遺伝的感受性因子を探索した。その結果、中皮腫を高率に発生する2家系でBRCA1関連タンパク質1をコードする遺伝子 (BAP1)の生殖細胞系列変異を発見し、また、家族性中皮腫においてBAP1の体細胞変異を見つけ、二対立遺伝子の不活性化が示唆された。中皮腫に加え、BAP1変異を持つ人の中には眼球ぶどう膜のメラノーマを発生する。散発性の中皮腫26例中2例にBAP1生殖細胞系列の変異を見つけた。この変異BAP1を持つ2例とも以前にぶどう膜メラノーマと診断されていた。生殖細胞系列の変異を持たない散発性の中皮腫で体細胞レベルの短縮型のBAP1変異やBAP1の異常発現も見られた。これらの結果は中皮腫やぶどう膜メラノーマを特徴とするBAP1関連がん症候群の存在を明らかにするものである。他のがんもこれにかかわっており、アスベスト曝露で中皮腫が優位になるのであろうと考えている。これらの発見は中皮腫に高いリスクを持ち早期の予防の対象になりうる個人を同定する助けになるであろう。

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