Article

腎機能:腎機能と慢性腎疾患に関連する新たな遺伝子座

Nature Genetics 42, 5 doi: 10.1038/ng.568

慢性腎疾患(CKD)は公衆衛生上の深刻な問題である。昨今の遺伝的解析によって、CKD発症リスクに関係する頻度に高い多型が同定されるようになった。CKDGenコンソーシアムは、主に地域住民を対象にした20のゲノムワイド関連解析をもとに、ヨーロッパ系67,093人についてメタ解析を行い、血清クレアチニン値(eGFRcrea)、血清シスタチンc値(eGFRcys)、CKD(eGFRcrea >60 ml/min/1.73 m 2 、CKD患者数は5,807人)を指標として、腎機能低下の原因となる遺伝子座を新たに同定した。さらに、これらの遺伝子座について再現性解析を行った。すなわち、ゲノムワイドに有意な関連を示す23の遺伝子座( P >5×10 −8 )について解析した。その結果、腎機能およびCKDに影響を及ぼす13の遺伝子座( LASS2 、 GCKR 、 ALMS1 、 TFDP2 、 DAB2 、 SLC34A1 、 VEGFA 、 PRKAG2 、 PIP5K1B 、 ATXN2 、 DACH1 、 UBE2Q2 、 SLC7A9 、これら遺伝子の内部または近傍)と、クレアチニンの産生や分泌に影響を及ぼすと予想される7つの遺伝子座( CPS1 、 SLC22A2 、 TMEM60 、 WDR37 、 SLC6A13 、 WDR72 、 BCAS3 )が明らかになった。今回の結果は、腎形成、腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)の機能、腎臓の血管新生、溶質輸送、代謝機能を左右する可能性がある遺伝子座を同定することで、腎機能の生物学的機序についての理解を深めるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度