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腎疾患:腎機能の指標や慢性腎疾患と関連する複数の遺伝子座

Nature Genetics 41, 6 doi: 10.1038/ng.377

慢性腎臓病(CKD)は遺伝的素因によって発症し、その高い有病率および罹患率から、重要な世界的規模の健康問題となっている。ヨーロッパ系の4種類の集団コホート(ARIC、CHS、FHS、RS、n(総サンプル数)=19,877、CKD患者は2,388例)を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、血清クレアチニン値や血清シスタチンC値から推定された糸球体ろ過量(eGFRcreaとeGFRcys)とCKD(eGFRcrea<60 ml/min/1.73 m2)に対する感受性遺伝子座を同定した。さらに21,466例(CKD患者1,932例)を対象とした関連解析を行い、その再現性を調べた。その結果、CKDの場合はUMOD、eGFRcreaではUMODSHROOM3GATM-SPATA5L1、eGFRcysではCSTSTC1に存在するSNPに、有意な関連(P<5×10−8)が認められた。UMODは、健常人の尿に最も多く存在するタンパク質であるTamm-Horsfallタンパク質をコードしており、この遺伝子に生じた稀な突然変異はメンデル遺伝性の腎臓病の原因となる。今回得られた結果は、CKDの発症機序について手がかりを与えるものであり、また、高頻度に観察され、腎臓機能および腎臓病に影響を及ぼす遺伝的多型の重要性を明確に示している。

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