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表現型修飾因子:RPGRIP1Lの高頻度対立遺伝子は線毛関連疾患である網膜色素変性症の発症を修飾する因子である

Nature Genetics 41, 6 doi: 10.1038/ng.366

疾患関連遺伝子の同定が急速に進んだにもかかわらず、第二の遺伝子変異による発症への影響についてはほとんど解明されていないこともあって、疾患発症を遺伝子型から予知するにはいまだ限界がある。RPGRIP1L(網膜色素変性GTP加水分解酵素調節因子結合タンパク質類似タンパク質)は、メッケル・グルーバー症候群(MKS)およびジュベール症候群(JBTS)において突然変異が生じている線毛遺伝子である。本論文では、RPGRIP1Lのタンパク質をコードしている領域に存在する多型が、他の遺伝子に生じた突然変異を原因とする線毛関連疾患患者の、網膜色素変性症の発症に関連していることを明らかにした。線毛プロテオームに対する再塩基配列決定を行ったところ、RPGRIP1Lに機能喪失型と推定されるいくつかの変異が同定され、その1つは高頻度に見つかるA229T変異であった。複数の遺伝解析の結果、この対立遺伝子が線毛関連疾患における光受容体機能の喪失に関係している証拠が得られた。さらに、失われると網膜色素変性が引き起こされるRPGRと、RPGRIP1Lが生化学的に相互作用すること、そして、RPGRIP1LのThr229変異タンパク質ではこの相互作用が著しく損なわれることを見いだした。本研究成果は、症候群性の疾患を構成する個々の表現型が変更を受ける一例を示すものであり、中等度の頻度と影響を示すこういった表現型修飾対立遺伝子(modifier allele)の発見のためには、上記のような多面的な取り組みが重要であることを強調するものである。

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