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イネ:DEP1遺伝子座の自然変異はイネの穀粒収量を高める

Nature Genetics 41, 4 doi: 10.1038/ng.352

多くの作物の穀粒収量は、自然変異から生じた量的形質遺伝子座(QTL)によって制御されている。本論文では、イネの穂型を決定することで機能している、穀粒収量についての主要QTLの分子レベルでの特性解析について報告する。DEP1遺伝子座の優性対立遺伝子は、切断型ホスファチジルエタノールアミン結合タンパク質様ドメインタンパク質を生じさせる、機能獲得型変異である。DEP1遺伝子座対立遺伝子によって生長点活性が亢進されることで、花房の節間長が短縮し、穂あたりの穀粒数が増加することから、結果として穀粒収量が増大する。この対立遺伝子は中国産多収性イネ品種の多くで高頻度にみられ、おそらく比較的最近になってからイネ栽培種の遺伝子プールにもたらされたものであると思われる。さらに、同じ機能を果たす対立遺伝子が温帯穀物に存在すること、そして、この対立遺伝子がコムギとオオムギの系統分岐以前に生じたように思われることも明らかになった。

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