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骨髄腫瘍:生殖細胞のJAK2 SNPは、JAK2V617F陽性の骨髄増殖性腫瘍の発症素因と関連がある

Nature Genetics 41, 4 doi: 10.1038/ng.342

真性多血症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症は、複数細胞系列クローンの血球新生を特徴とする骨髄増殖性腫瘍(MPN)である。真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症の患者の大半で、チロシンキナーゼJAK2遺伝子(JAK2V617F)に、同一の体細胞性活性化変異が観察されることから、これらの表現型の異なる疾患の発症の一因となるような、この変異以外の遺伝的事象が存在する可能性が高いと考えられる。さらに、MPN患者の家族はMPNの発症リスクが高くなり、このことはMPNの発症素因に関する座位が存在するという推測と矛盾しない。そこで、生殖細胞における遺伝子の変化が、MPNの発症素因や多面的な表現型に寄与していると仮定した。ゲノムワイド関連解析を行い、これまでには知られていなかったMPN修飾座位に加えて、JAK2座位内に、JAK2V617Fをもつ(陽性)MPNの発症素因となる対立遺伝子(rs10974944)を同定した。そして、この素因対立遺伝子に対してシスの位置に、JAK2V617Fが選択的に獲得されていることを見つけた。以上の結果は、生殖細胞に起きた遺伝子変異が、MPNの表現型や発症素因についての重要な一因であることを示唆するものである。

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