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ヌクレオソーム:酵母における遺伝子発現の多様性はDNAにコードされたヌクレオソーム構築の進化と関連している

Nature Genetics 41, 4 doi: 10.1038/ng.324

真核生物の転写はクロマチンという環境で起こり、クロマチンの構造は重要な調節機能をもっており、DNA配列自体にシスの位置でコードされているものもある。遺伝子発現の進化的な変化が、DNAにコードされたプロモーターのヌクレオソームの構造の変化と関連しているかどうかを調べた。好気的な酵母種では細胞呼吸の遺伝子が通常の条件では活性をもっており、これらの遺伝子のプロモーターの配列には比較的開かれた(ヌクレオソームのない)クロマチン構築がコードされている。このヌクレオソームのない構造にはDNA配列の情報だけが必要であり、いかなる補助因子や転写とも無関係で、増殖に関連した遺伝子の一般的な性質であることがわかった。逆に、嫌気的な酵母種では細胞呼吸の遺伝子は、典型的な増殖の条件では比較的不活発で、呼吸の遺伝子のプロモーターは比較的閉じた(ヌクレオソームに埋まった)クロマチン構築になっている。この結果は、これまではわかっていなかった表現型の多様性のもとになっているものとして、DNAにコードされ、プロモーターのヌクレオソーム構造を直接変えることによる、遺伝的な仕組みがあることを示唆している。

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