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クローン病:IRGM発現の変化とクローン病に関連するIRGM上流の欠失多型

Nature Genetics 40, 9 doi: 10.1038/ng.215

近年の全ゲノム関連研究の成功を受け、ヒトの遺伝学では関連遺伝子座の遺伝的多型がどのように細胞過程や疾患過程に影響を与えるのかを理解することに重点がおかれている。クローン病(CD)はIRGM周辺のSNPとの関連が認められるが、この関連の原因はコード配列の変異ではなかった。本論文では、IRGM直上に位置するありふれた20 kbの欠失多型を同定し、この欠失多型が最も強くCDに関連するSNPと完全な連鎖不平衡(r2 = 1.0)を示すため、IRGM上流の2つの異なる配列によって集団を分離できることを明らかにした。IRGMの欠失ハプロタイプ(CDリスクハプロタイプ)と参照ハプロタイプ(CD防御ハプロタイプ)は異なった発現パターンを示した。IRGMの発現レベルを操作することで、CDに関与する過程である、細胞により取り込まれた細菌の自食作用が制御された。これらの結果は、IRGMで認められるCDとの関連は、自食作用の効果に影響を与えるIRGM調節の変化から生じることを示唆し、ありふれた欠失多型が原因変異である可能性を明らかにするものである。

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