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繊毛:フォークヘッドタンパク質Foxj1はアフリカツメガエルやゼブラフィッシュの胚節での繊毛の分化過程にかかわっている

Nature Genetics 40, 12 doi: 10.1038/ng.267

繊毛をもった細胞は左向きの体液の流れを作り出し、多くの脊椎動物の胚で、左右のパターンを作り出すといわれている。これらの細胞の繊毛は感覚器としての繊毛と運動性の繊毛の両方の機能をあわせもっているが、こうした繊毛のサブタイプがどのように分化していくのかはわかっていない。マウスの多繊毛細胞の繊毛形成に必須なフォークヘッド型の転写因子Foxj1タンパク質のホモログをアフリカツメガエル(Xenopus)とゼブラフィッシュで解析することにより、この問題を攻略しようと考えた。アフリカツメガエルの原腸胚のルーフプレート(GRP)とゼブラフィッシュのクッパ―小胞の左右のパターンにかかわっている繊毛は、Foxj1モルファント(形態形成に関与する遺伝子の発現をノックダウンした胚)では極端に短いか、形成できないことを示すことができた。さらに誤って発現したFoxj1タンパク質でもカエルの胚のGRP様繊毛の他所での形成に十分であることがわかった。またマイクロアレイの解析により、アフリカツメガエルFoxj1 が、運動性繊毛遺伝子の発現を促進することによって繊毛形成を導いていることが示唆された。本研究により、Foxj1タンパク質が、左右のパターンを決めるのに使われる繊毛の分化の決定に重要であることが示された。

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