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脳動脈瘤:ヨーロッパ人集団および日本人集団における脳動脈瘤感受性遺伝子座位

Nature Genetics 40, 12 doi: 10.1038/ng.240

脳卒中は全世界で3番目に多い死亡原因である。脳卒中の原因の1つである脳動脈瘤は人口の約2%に発症し、年間500,000例の中高年(平均発症年齢50歳)におけるくも膜下出血の原因となっている。くも膜下出血は、多くの場合、死亡または重度の脳神経障害を招く。脳動脈瘤の発症原因は知られておらず、さらに、重篤な大量出血がこの疾患の一般的な最初の兆候であるため、早期の診断が必須である。今回、脳動脈瘤患者2,100例以上と健常対照者8,000例を含む、フィンランド人、オランダ人、日本人のコホートの多段階全ゲノム関連研究(GWAS)を行った。ヨーロッパ人のコホートに対する全ゲノム関連研究および日本人コホートでの再現研究の結果、染色体2q、8q、9pに、脳動脈瘤とオッズ比が1.24-1.36という有意な関連を示す頻度の高いSNPが特定された。2qと8qの遺伝子座位は新しく同定されたものであるが、9p上の遺伝子座位は脳動脈瘤をはじめとする動脈疾患との関連が以前に報告されている。関連が明らかになった8q上のSNPはおそらく、内皮細胞の形成・維持に必要なSOX17を介して作用する。このことは、原因遺伝子が血管構造の発生と修復において役割をもつことを示唆している。そして、9pのCDKN2Aは似たような役目を果たしている可能性がある。これらの結果は、脳動脈瘤の病態病理、診断、治療に重要な意味をもつものである。

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