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DNA切断:大腸菌Escherichia coli単一細胞において自然に発生するDNA切断

Nature Genetics 39, 6 doi: 10.1038/ng2051

自然に発生するDNA切断はDNA複製によってしばしば起こり、避けることができない。そして、癌や進化を引き起こすゲノム変化の多くはこれにもとづくと考えられている。その重要性にもかかわらず、生きている細胞における自然に起こるDNA損傷の量、種類、原因、運命について直接評価することはほとんどなされていなかった。本論文では、SOS応答誘導能を示すDNA損傷を、大腸菌の単一生細胞において直接かつ高感度で検出するフローサイトメトリーによる分析法を提示し、この分析法を用いた自然発生DNA二重鎖切断(DSB)の定量法を報告する。本法によって単一の染色体DSBが効率よく検出され、自然に生じる切断の割合が予想よりもおよそ20倍から100倍小さいことを報告する。さらに、自然に発生するDSBを複製起点とするDNA複製に関して、DNAポリメラーゼ・に異常のある変異株では自然発生DSBの数が少ないという知見を示す。実験データは、自然に発生するDSBが、以前の評価に比べて20倍から100倍強力に、ゲノムの変化および不安定性を引き起こすことを意味している。最後に、FACSによって、自然に発生するDNA損傷後の2つの細胞運命が明らかになった。すなわち、細胞増殖の再開をともなって、またはともなうことなく生存できるというものである。

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