Perspective

バイオインフォマティクス FlyAtlasを利用してヒトの病気のよりよいショウジョウバエモデルを同定する

Nature Genetics 39, 6 doi: 10.1038/ng2049

新しいオンラインデータベースであるFlyAtlasを使うと、ショウジョウバエの多くの組織での発現が非常に包括的に理解できる。データのメタ解析を行ったところ、成虫において、ゲノムのかなりの部分が高度に組織特異的な発現をしていることがわかった。機能ゲノムを研究する際には、広範な表現型に対する機能的な検討が必要である。また発生にかかわるよく知られた遺伝子が、成虫の意外な場所で再利用されていることが多々みられ、こうした遺伝子のもつ新しい機能が示唆される。ヒトの遺伝病の座位にあるホモログ遺伝子は、ヒトで症状の出る組織とショウジョウバエで選択的に発現する組織が類似しており、候補遺伝子を調べるときの有用なフィルターとなる。さらに、全ショウジョウバエアレイシグナルにおける各組織の貢献度を計算すると、機能ゲノム学にショウジョウバエ全体を用いることの限界が明らかになったとともに、弱いシグナルや組織特異的なシグナルの検出を改善する単純な組織分別方法のモデル化の可能性が示された。

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