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ミトコンドリア:p53制御リボヌクレオチド還元酵素(p53R2)をコードするRRM2Bの突然変異はミトコンドリアDNA量の減少を引き起こす

Nature Genetics 39, 6 doi: 10.1038/ng2040

ミトコンドリアDNA(mtDNA)欠乏症候群(MDS; MIM 251880)は、酸化的リン酸化異常症の一般的な原因で、ミトコンドリアDNAのコピー数減少を特徴とする。これまでに明らかになっている発症機構は、mtDNAの複製(POLG)、もしくはmtDNAの合成に必要なデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の再生経路(DGUOKTK2、およびSUCLA2)に関与する遺伝子に変化が生じるというものである。最後の遺伝子MPV17の機能は知られていない。現在までのところ、大半の症例は依然として原因が不明のままである。重度のmtDNA欠乏(筋肉中の残存mtDNAが1-2%)を示す血縁関係のない4家系の7症例を調べたところ、細胞質に存在するp53誘導型リボヌクレオチド還元酵素小サブユニットをコードするRRM2Bのナンセンス突然変異、ミスセンス突然変異、スプライス部位突然変異、インフレーム欠失変異が発見された。したがって、Rrm2b-/-マウスではさまざまな組織でmtDNA量の重度の減少がみられた。ヒトでもマウスでも観察される、p53R2の変化によって引き起こされるmtDNAの欠乏は、p53R2がmtDNA合成のためのdNTPの供給に重要な役割を果たすことを示唆している。

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