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MAPキナーゼ:p38αはJNK-c-Jun経路に拮抗することによって正常細胞や癌細胞の増殖を抑制する

Nature Genetics 39, 6 doi: 10.1038/ng2033

マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)p38αは炎症反応と細胞増殖を制御する。コンディショナルなMapk14(別名p38α)対立遺伝子をもつマウスを用いて、出生後の発育と腫瘍形成におけるMapk14の機能を調べた。マウス胚で特異的にMapk14を欠失させた場合、胎仔は妊娠期間満了まで発生するが、出生後短期間のうちに死亡した(肺機能不全が原因と考えられる)。p38αを欠損する胎仔の造血細胞や胚性繊維芽細胞では、 c-Jun N末端キナーゼ(JNK)-c-Jun経路が持続的に活性化されるため、増殖の亢進が示された。特に、肝臓特異的にMapk14を欠失させたマウスでは、化学物質誘発性の肝癌の形成で、JNK-c-Jun経路の亢進に関連する肝細胞増殖の亢進および腫瘍の進展が認められた。そのうえ、JNKあるいはc-Junの不活化によって、Mapk14を欠損する肝細胞や腫瘍細胞の増殖亢進が抑えられた。これらの結果は、p38αが、多くのタイプの細胞や肝癌の進展において、JNK-c-Jun経路に拮抗することによって、細胞増殖を負に調節する新しい機構を示すものである。

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