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攻撃行動:セロトニンとニューロペプチドFはハエの攻撃行動に逆の調節効果を与える

Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2029

セロトニン(5-HT)とニューロペプチドYの両方が、攻撃行動などの、哺乳類のさまざまな行動に影響を与えることが報告されている。本論文では、5-HTとニューロペプチドF(ニューロペプチドYの無脊椎動物でのホモログ)の両方が、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において攻撃行動を調節することを示す。我々は、ハエの脳において薬剤によって5-HTの増加を誘導すると攻撃行動が増加することを明らかにした。セロトニン系回路で遺伝的に5-HTを上昇させると、このような薬理学的効果が再現される。一方、これらの回路を遺伝的にサイレンシングすると、ハエは薬剤誘導性の5-HTの増加に対して応答する行動を起こさないが、攻撃能は保持し続ける。また、ニューロペプチドF(npf)の遺伝的なサイレンシングによっても、ハエの攻撃行動は増加する。これは、5-HTとは逆の調節を示している。また、このニューロペプチドFの効果は5-HTには依存しないようにみえる。ハエとマウスの攻撃行動にこのような2つの調節系が関与することから、この行動は進化的な保存度が高く、共通の深い分子起源をもつことが示唆される。

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