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精子形成:AURKCのホモ接合性突然変異は大きな頭部の倍数体精子を生じさせ、男性不妊の原因となる

Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2027

世界保健機関(WHO)は、控えめに見積もって、全世界で8000万人が不妊に苦しんでいるとしている。不妊の全症例のうち20-50%は男性側に原因があるとされているが、ヒトの精子形成に影響を及ぼす遺伝的欠陥として複数の報告がみられるのは、Y染色体の微小欠失のみである。本研究では、体細胞の核型は正常であるものの、大きな頭部、さまざまな本数の尾部、染色体含有量の増加といった特徴をもつ精子の男性不妊患者(OMIM 243060)に注目した。我々は、この特徴的な表現型を示す10人の男性不妊患者に対してマイクロサテライトマーカーを用いた全ゲノムスキャンを行った。その結果、すべての患者に共通してホモ接合性がみられる領域を特定し、この領域内に存在するオーロラキナーゼC遺伝子(AURKC)のコード配列において単一ヌクレオチドが欠失していることを見つけた。さらに、この創始者変異のために翻訳過程が途中で終了し、キナーゼドメインの欠けた短縮型タンパク質が産生されることを示した。我々は、AURKCが欠損することで、頭部が大きく尾部が複数本ある倍数体精子が産生されるため、男性不妊が発症すると結論している。

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